食品放射性物質検査アドバイザー 長谷川豊司の一言③

公開日 2018年03月02日

yjimageHUJM84M0

「小・中・高における放射線・放射能教育現場の記憶」

もう2~4年も前になりますが、放射線・放射能について福島の現状を踏まえてお話くださいとのことで、福島県の小学校、中学校、大分県の高等学校を訪問しました。私はいつもお話しする前に運動場の大きな木の下、溝、砂場、樋など、放射線量が高いと思われる場所を選んで測定し、その放射線量の結果を基にして話しを始めることにしています。小学校では測定器を持って歩いていると、運動場でボール遊びをしていた14~5人の子供達が“ワ~~!!”と駆け寄ってきました。興味津々の明るい無邪気で元気な姿に私は一瞬安堵したのですが、私の手にある測定器をじっと真剣に覗き込む眼差しを今も忘れることが出来ません。この子供達の将来に悪い影響を及ぼさない放射線量と思われるけれども胸に詰まるものを感じました。中学校では教職員と子供達が一緒に食べる給食を頂きました。全て福島県の食材で作られた豆入混ぜご飯、魚の煮付け、お味噌汁、お新香でした。福島県産と言うだけで、半値以下で売られたり、また敬遠されてきた事を思えば気持ちも沈みますが福島県のお米はとても美味しく勧められるままにお代わりを頂きました。福島県でスキー体験を毎年の行事として行う高校からも依頼がありました。食べ物、水、新雪などの新しい放射能情報に関するお話を織り交ぜ、福島県の現状を生徒と父兄の前でお話ししました。あるお母さんから人工放射線と自然放射線は違うのではないかとの質問を受けました。お母さんの側まで歩み寄り二人のやり取りを、マイクを通して皆さんに説明しました。人が暮らすには充分安全な放射線・放射能の環境であるにもかかわらず、納得いく説明を行う事の難しさを痛感しました。